やめたことシリーズ:洗面台の掃除は「この先ずっと」夫におまかせ

汚しても汚れていても全く気にならない夫と、汚れた洗面台を見るのが嫌な私の妥協点

私は毎日掃除していた洗面台の掃除をやめた。今後は夫が担当する。

洗面台の汚れ具合について、私には私の基準があり、夫には夫の基準がある。
どちらも自分は間違っていないとお互い譲らないから、汚れていれば私はイライラするし、汚れていることを指摘された夫は指摘されたことにイライラする。
そんな暮らしが30年。

ところが先日、面白い話を聞いた。
父娘二人暮らしの上司は、自宅の1階のトイレを父親が、2階のトイレは上司が使っているという。それぞれ専用のトイレにして、相手のトイレについては一切関知しないルール。
汚れていようがなんだろうが自分が使わないから平気。ということらしい。
汚れていてもイライラしなくて済むでしょ、と言っていた。お互いの妥協点がそこだったんだって。

その手があったか。

私はあまりに汚れがひどい時、夫にその状態を見せ、次に使う人のためにきれいにしようよと言ってきた。

しかし私に度々言われても、これから気をつけよう、とか、きれいな状態を保とう、というようにはどうしてもならない。渋々汚れを取ったり流したりする程度だ。
「え?これくらいが汚いの?」って感覚なんだろう。
これが夫の基準だ。

私は自分が使う時に汚れた状態を見るのが嫌だ。
汚してしまうのは使っていて当然なのでそこは構わないのだが、汚れたらキレイにしておこうよ。次に使う人のためにさ、というのが私の基準。

だからいつもキレイな状態にしておきたくて毎日掃除をしている。でも、なんで自分が汚してもいないのに掃除してるんだろか。私は「お掃除おばさん」じゃないんだからね、当たり前だと思うなよ。と心の中でブツブツ言っている。
こんな具合なので、永遠に平行線だ。

ところが上司の話を聞いて、いっそのこと洗面台を「夫のもの」にしてしまえば良いのではとひらめいた。
私の洗面台でないのなら、汚れていようが詰まっていようが見なければ良いのだし、腹も立たないだろうと思ったのだ。

夫にその話をもちかけたら、却下されるかと思いきや、あっさり「わかった」と言うではないか。

「夫」という立場でも家事をすることが推奨される時代になったことを自覚したからなのか、私にアレコレ文句を言われなくなるならその方が良いと思ったのか(後者だと思うけど)、いずれにしてもその日から洗面台は夫担当となった。

洗面台は1つしかないので、本当はそうしたくないけど私は台所を使う。二人暮らしだから「まぁいっか」と思うことにしている。

そうしてしばらく経ったある日、夫が洗面台を掃除しているのをみかけた。また別の日にチラリと洗面台を見たら、これが案外キレイなのだ。

結婚して30年、ほとんど掃除をしなかった夫が、今なぜ洗面台をきれいにするようになったのか?そこは謎だが、おかげで私はストレスが減り、掃除の時間も減った。
夫は(多分)私から受けていた「きれいにしてよ」プレッシャーがなくなったので、たぶんホッとしているだろう。

めでたしめでたし。