AIの脅威。AIに支配される日。

・AIが人類存続の危機をもたらす可能性

  • 「例えばAIに気候変動を止めるよう指示したとする。AIが目的を達成するために人間を排除することが必要だと気付き、実行に移すリスクを懸念している」
  • 「多くの人が、AIの暴走を防ぐには電源スイッチを切ればいいだけだと主張する。だが、人知を越えたAIは言葉によって我々を操れる。スイッチを切るべきではないと説得しようとするだろう」
  • 「今後10年以内に自律的に人間を殺すロボット兵器が登場するとみている」

世界のAI研究をけん引し、教え子の多くが最先端の生成AIの開発を担っているトロント大、ジェフリー・ヒントン名誉教授が、自らけん引したAIがもたらす脅威を語った日本経済新聞の記事である。
そうだろうな。こんな私ですらそう思うもの。

・人間は自分たちの幸せのために作ったものをコントロールできない

最高の科学や知見が生み出したものは、人間を幸せにし、不幸にもしている。
科学の進化は人類を困難な病から救い、一方で戦争のために開発された兵器が多くの命を奪っている。
SNSは迅速な情報発信が災害時に人々を救う反面、発信する言葉の暴力により人は傷つき、追い詰められる。
人間は自分達のために作ったものを結局コントロールすることができない。それもまた人間だからだ。

AIの脅威について一時は不安だった社会も、いつの間にか良い面だけが強調された状態で独り歩きしているように見える。
AIは人間の発想以上に雄弁に語り、そのおかげで仕事も生活も効率化し、私達の暮らしを豊かにしてくれるのだろうが、私達はその脅威を見て見ぬふりをしていないか。
後々取り返しのつかないことにならないか。

・ChatGPTは私の「知識と心」とは違うもの

ところで私もChatGPTを使ってみた。なんでもやってみないとその是非を語れない。
ChatGPTにブログで書きたいタイトルを伝えると、あっという間に、それはもう良くまとまった素晴らしい文章が返ってきた。
文章を作るのは楽だし、ひょっとして毎回スイスイと書いてくれて楽ができるかもしれない。

試してみたものの、結局記事の文章としてコピペすることはしなかった。使おうとしてもなんとなく気持ちが悪くて使えなかったのである。
AIの優れた知能と知性は、私のそれらではなかったからだ。

・効率や発展を追うことが、必ずしも人を幸せにするばかりではない、ということを私達はわかっているはず

最近、不便や非効率に回帰する人々が増えてきているそうだ。
コンピュータの音に慣れ切った音楽も、温かみのあるレコードの音を聴く人が増えているそうだ。デジタルカメラよりフィルムカメラ、配信コンサートではなく会場に足を運ぶ。
コロナ禍にはリモートワークの有用性をあんなに賞賛していたのに、出社回帰している企業も増えているという。

地球温暖化、核の恐怖、そしてAIの脅威。これらが要因となっているのか、少子化が進み、将来への展望を抱けない若者が増えている。

進化や発展ばかり追うことが必ずしも人を幸せにするばかりではない、ということも私達はよく分かっているはずだ。
AIに支配されるより早く、そのことを思い出した方がいい。