免許返納のタイミング

高齢者運転講習

テレビから流れてくるのは、地方の自動車教習所で行われている「高齢者運転講習」の映像。
高齢者が自動車教習所内で運転実技の講習を受けている。

70歳後半~80歳前半の受講者は、教習者に乗り込む時、
運転席のドアを開けるはずが後部座席のドアを開けてしまったり、
座席の高さと位置を調節するのがなかなかできなかったり、
カーブで縁石に乗り上げたり、
段差を乗り越えるのにアクセルをふかしすぎたり、
止まっている車をよけて直進するはずが右折してしまったり。

高齢者運転講習は、70歳以上の運転免許証保有者が免許更新時に受講する必要がある講習。
高齢者講習には合否はなく、受講すればOK。

視力検査(動体視力、夜間視力、視野の検査)、運転実技(信号に従って走行しているかや、一時停止の標識を確認しているか、進路変更時の合図や確認、カーブ走行が円滑かなどを指導員と一緒に乗車し、運転する)といったことをやるんだって。

さらに75歳以上のドライバーは、高齢者講習に先立って、記憶力や判断力を測定する「認知機能検査」を行う必要もある。

慣れている自分の車で受講できないのだろうか

確かに見ていて危なっかしい。この状態で公道を運転していたら事故を起こしかねないし、自分も周囲も危険だ。
しかし考えてみると、

まず運転席に乗るのに後部座席のドアを開けたり、座席の高さと位置を調節するのがなかなかできなかったりするのは、自分の車じゃないから戸惑うのは当たり前だし、緊張するよ。

カーブで縁石に乗り上げたり、段差を乗り越えるのにアクセルをふかしすぎたり、止まっている車をよけて直進するはずが右折してしまったというのは、地方の教習所だったことを鑑みれば、受講者は普段は軽トラックとか軽自動車を運転している人が多いとも考えられる。

普段乗り慣れていない車に突然乗れば、車幅感覚も違うから私だって縁石に乗り上げそうだ。

アクセルの踏み心地が自分の車と全く違う。想像では、受講者の普段乗る車より軽いと思う。だとすると、どの位踏めばどのくらい前に進むかの感覚がないまま段差を乗り越えるのは簡単ではないよ。

講習を受けた高齢者の人たちは、口をそろえて「車がなくては生活できない」と言っている。毎日が車と共にあるのだろう。
だったら、普段自分の運転している「慣れている」車で講習を受けたらもっと上手に運転できると思うのに。

メディアの伝え方って
「高齢者はこんなに危険な運転をするのです。だから早く免許を返納したほうがいい」と受け取れる「偏向報道」気味に見えるんだよねぇ。

運転する必要があるのなら、こういう高齢者運転講習自体は必要だし、記憶力や判断力を測定する「認知機能検査」はとても大事だ。
自分の運転の傾向とか今後こうなっていく、といったことを知ることができるよい機会だ。

81歳の母は元気に免許更新。私は60歳で返納するつもり

ところで私自身は56歳で、70歳から始まる「高齢者運転講習」はまだ先。毎日職場まで車で通勤しているが、ここ10年位は便利ということよりも「怖い」という気持ちの方が強くなってきている。
毎日「今日も事故を起こさないように気を付けます」と神棚にお祈りしてから出勤している。

だから、不便でも60歳になったら運転は止めようと思っている。
私の家は最寄りの電車の駅まで徒歩で40分はかかるし、バスも日中は一時間に1本しか通らない。
でも止める。自転車と徒歩でできる生活をする。
不便でも事故を起こす怖さから解放されたい、と思っている。

しかし81歳超元気な私の母は「講習受けてきた。認知機能検査は問題集を暗記したから完璧。運転も今日いた人の中で一番上手だった。へへん。」と意気揚々と免許更新をしてきた。
かなわんのう。