おでこを出す。50代後半に残された道は「清潔感」でしょ。

・「美人」の定義。

私はおでこが絶望的に狭い。しかも四角い。指を三本おでこに当ててそれより狭かったらおでこが狭いらしいけど、余裕。昔からこれがコンプレックスで、前髪を作って狭くて四角いおでこを隠してきた。

私はおでこを出した髪型にしている人を「美人」だと定義している。
世間は前髪アリがトレンドで、シースルーと言うらしく、通っている美容院の美容師さんも芸能人も自分の周りも前髪アリが多い。
私の定義に当てはまるにもかかわらず「前髪あり」の人を見ると「もったいない」と思ってしまう。

実は自分が前髪を作っていたのにはもう1つ理由があった。おでこのちょうど中央に、大きな「ホクロ」があったからだ。
ちょうど仏様の額の間にある「白毫相(びゃくごうそう)=仏様が光を放つ4.5メートルもある白く長い毛(が普段は収納されている)」と同じような位置にあり、子供の同級生達から「これなあに?」と無邪気に聞かれたり、触られたり、押されたり、トホホな生活を長年送ってきた。

このホクロのせいおでこを出すのが嫌だったんだよね。

しかしホクロは10年ほど前に思い切って取ったことで、この件についてのコンプレックスからは開放されたはずだった。
それから美人の定義に自分を当てはめるべくおでこを出そうとしてきたのだが、結局四角く狭い額を出すのは気が進まず、出しては隠し出しては隠し、つまり前髪を伸ばしては切り伸ばしては切りを繰り返してきた。
しかもおでこが狭いため前髪が伸びるとすぐに目にかかる。美容院に次に行くタイミングまで待てず、自分でちょくちょく前髪を切らなくてはならない。大抵自分で切っても上手くできない。

天候に左右されない安定した髪が欲しいよ。

45歳を過ぎた頃から、くせ傾向が強くなり、髪も老いてきたのかコシもハリもなくなり、ヨレヨレとしてきた。

雨に濡れると前髪がペッタリとしてみっともない。せっかく毎朝ドライヤーで整えても、湿度が高いとあっという間に崩れてヨレヨレになり、潰れて変な方向にカールしてしまう。
なんていうか、年齢を更に越えた老けたような疲れたような容姿になる。そして清潔感がないように感じてしまう。
髪のせいかシワのせいか顔のせいか。全部か。

テレビに映る同じ年代であろう女性が雨の中インタビューに答える姿が目に入る。前髪がおでこに張り付いてるし、変な風に分け目ができちゃってる。
これは私だ。私はこう見えているんだ。これはよくない。

年寄りに残されたのは「清潔」かどうかのみである。

やっぱり歳をとったら「清潔感」でしょう。

きっとこれからもっと髪質は悪くなるし薄くなる。白髪も増えるし顔のシワもシミも増える。
話は逸れるが、首回りが痩せてきたので喜んでいたが、そういうことではなく、貧相になりシワがよるようになっただけのことだ。
50代後半ってこういうことかあ。エステとかシミ取りシワ取りは考えたことないし、若見えするつもりはない。でも年齢相応でいたいものだ。できれば小奇麗でいたい。

おでこが四角だろうが三角だろうが、美人だろうがブスだろうが、つまり「清潔感」だろう。もうおでこ周りをさっぱりさせるに限る。

という事で今、前髪は伸ばしかけなのでピンで留め、おでこを出して過ごしている。
そうなの。慣れ慣れ。自分が思うほど周囲は自分の顔なんて見ていないんだから。
シカクイおでこが全開になったが、若かった頃に感じた狭くて「シカクイおでこ最悪」という気持ちにはなることもなく、もっと言ったらもう少し早くおでこを出せば良かったよ、と思うくらいだ。
髪型も去年からショートにしているから長さもさっぱりしているし。

つまりようやく「美人」になったということなのだ。へへん。