インド映画が私を救う〜インド映画は不安や心配事を一瞬で吹っ飛ばす薬〜

息子が「『きっと、うまくいく』っていうインド映画、めっちゃ良かった。もし時間があったら観てみて」と言う

インド映画のイメージは?

40年前、留学していたスリランカでハリウッド映画をしのぐ人気があったのがインド映画だ。(きっと今もそうだろう)
民族・文化が近いこともあるので人気があって当然だが、当時、生まれて初めてインド映画を目にした私が受けた衝撃は凄まじかった。

ラブストーリー?コメディ?それとも社会テーマ?いや、テーマある?想像をはるかに超えたストーリーとあり得ないど派手なアクションシーン。
どうしてここで「歌と踊りが?」というタイミングで始まるミュージカル仕立ての展開。

友人たちは、マイケル・ジャクソンもかっこいいけれど(当時はマイケル・ジャクソン全盛期)、と言いつつインド映画の俳優に夢中になっている。
インド映画は全てこんな感じで、あまりの衝撃に最近まで距離を置いていた(忘れていたとも言う)のだが、40年近く経った今、日本では若い人達の間で人気上昇中らしい。

最初に娘に勧められて観たのが「RRR」

「RRR」は、イギリス統治下のインドを舞台にした壮大なアクション映画。2人の主人公が誤解と対立を乗り越え、共通の敵に立ち向かう。

インド映画は「長い」。約3時間。
途中で「休憩(インターミッション)」が入り映画が一旦停止する。しかしこれ、日本の映画(2時間でも)でもやってほしい。コーヒーを飲みながら映画を観たいのに、途中でトイレに行きたくなるからと、コーヒーを我慢し上演前は水分まで控える私にとってはありがたい。
ど派手(華麗?)なアクションとミュージカル仕立ては昔も今もだった。そして世界一のIT大国ならではの視覚効果。
ところが見終わってみれば、40年前は安っぽく見えたはずが、想像をはるかに超えた壮大なスケールに最後は感動すら覚えてしまった。

実はインドが抱える社会問題も描かれている、ということが今になってわかったからか。

「きっと、うまくいく」を観ると「どーでもいいか、私の心配事なんて」という気持ちになれる

インド映画って案外良いかも、と思っていた所に息子から「きっと、うまくいく」という映画のお勧めがやってきた。

インド工科大学に通う3人の学生の友情と成長を描いた物語。解放的で自由な発想を持つランチョーは、自分のつらい境遇や生い立ちのことはみじんも見せずに、様々な問題を抱え悩む友人のファルハーン、ラージューに自分らしく生きることの大切さを伝えていく。

卒業後、行方がわからなかったランチョーを探し再会を果たしたファルハーン、ラージューは、彼が小さな村でどんな子供でも自由に学べる学校を作り、さらに実業家としても成功していることを知った、というストーリー。

なにより私にとってありがたかったのが、「きっと、うまくいく」(All is well)という言葉を主人公ランチョーが友人達に何度も投げかけて、人生を楽しんでいくように導いていくところ。

私は最近くよくよしたり不安になったりすることが続いている。
仕事では、上司との見解の相違に落ち込むとか、些細なことだけど、送った文書の宛名の漢字を間違えたのかも?なんて事を家に帰ってから突然思ってしまい、一晩中不安になったり。(翌日確認したら、ちゃあんと正しく送ってあった)

プライベートでは、将来もらえる年金があまりに少ないことに「老後貧困」をイメージして暗くなってしまったり。出かける前には、ガスコンロは止めてあるか、コンセントは抜いたか、なんてことを何度も確認し過剰に心配してしまったりと、「負」をまとっちゃった状態が続いている。

それが「きっと、うまくいく」(All is well)というセリフを何度も何度も聞いているうちに「ま、いっか。なんとかなるか」という気分にさせてくれたのよ。

そう、かつての「歌って踊るだけのドタバタインド映画」という私イメージは完全に覆され、いや、歌って踊るミュージカル仕立てなのは変わらないのだが、観ているとだんだん

「どーでもいいか、私の心配事なんて。インドのスケールに比べたら小っちゃすぎて笑っちゃう」

と思えてしまう。これが「インド映画」の本質だったのだ。

観終わって「良かった~」と息子にお礼を言ったら、「元気出たでしょ?」と返信が来た。
何も言っていないのに、息子には私のメンタルが伝わっていたのか?

息子すごいな。